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コンビニのフランチャイズ契約前に知るべき初期費用と資金計画

契約後に「こんなにお金がかかるなんて」と後悔しないために。

今回は、実際にコンビニ経営を経験した立場から、開業前に必要な初期費用と資金計画のリアルをわかりやすく解説します。

なぜ「資金計画」を甘く見ると失敗するのか

コンビニ経営で一番多い相談が、「思ったよりお金がかかった」という声です。

フランチャイズ本部の説明だけを鵜呑みにしてしまうと、契約後に「こんな費用があるなんて聞いてない!」というケースも珍しくありません。

例えば、

  • 開業時の加盟金や保証金
  • 店舗改装や什器の設置費用
  • 人件費や水道光熱費の先払い
  • そして、オープンから数ヶ月の赤字期間を乗り切る運転資金

これらを合計すると、最低でも1,000万〜2,000万円規模の初期費用が必要になります。

「本部が出してくれる部分」だけを見て安心してしまうのは、非常に危険です。

コンビニ開業の初期費用の目安一覧表

コンビニ開業の初期費用は、以下のような項目で構成されています。

費用項目内容目安金額(税込)
加盟金・契約金フランチャイズ加盟に必要な基本費用。ブランドによって異なる。約100〜300万円
研修費用オーナー・従業員向けの研修費。多くは1〜2ヶ月分約10〜50万円
保証金・預託金本部への保証金(契約終了後に一部返還される場合あり)約100〜300万円
内装・設備費冷蔵庫・レジ・什器・照明・看板など。ほとんどは本部指定業者で施工約500〜1,000万円
開店準備費開店前の仕入れ費・備品・ユニフォーム・広告費など約100〜200万円
物件取得費敷金・礼金・仲介手数料など(自社所有地なら不要)約100〜400万円
運転資金(3ヶ月分)開業初期の人件費・光熱費・仕入れなどの運転資金約300〜500万円
合計目安約1,200〜2,500万円

合計:およそ1,200万〜2,500万円程度

もちろん、契約形態や土地・建物の条件、本部ブランドによって前後しますが、最低ラインでも1,000万円超は現実的に見ておきたいところです。

コンビニが「100〜300万円で開業できる」と謳う仕組みの裏側

最近では「100〜300万円で開業できる」といった宣伝をよく見かけます。

しかし、これには裏があります。

  • 実際には本部が初期投資を肩代わりしているだけで、月々のロイヤリティ率が高く設定されているケースが多い。
  • 契約期間中は実質的に返済を続けている状態になる。
  • 途中で解約しようとすると、違約金や残債の精算が必要になる。

つまり、初期費用が安くなってるのは、あくまで支払いを先送りしているだけなのです。

表面上の数字に惑わされず、長期的な収支バランスを見極めることが大切です。

開業後に陥りやすい「資金ショート」の実態

オープン直後は、まだ客数も安定せず、赤字が続く時期があります。

特に人件費と廃棄ロスがかさむ初年度は、1ヶ月あたり10〜30万円の赤字も珍しくありません。

よくある失敗パターンは次のとおりです。

  1. 「開店資金は準備したが、運転資金を考えていなかった」
  2. 「家族の生活費まで店舗運営に使ってしまった」
  3. 「季節変動(夏・冬)による売上落差を想定していなかった」

開業資金だけでなく、半年分の生活費+運転資金を別枠で確保しておくことが、経営を安定させる最大のポイントです。

なぜ「100〜300万円で開業できる」と書かれるのか?

初期費用が安くなっている仕組みについて、さらに詳しくお伝えしていきます。

① 「自己資金」のみを指しているケースが多い

多くのフランチャイズ本部が言う「開業資金〇〇万円〜」とは、実際には自己資金の最低ラインのことです。

つまり、こういう意味です👇

「あなた自身が用意するお金(手元資金)は100〜300万円あればOK。残りは本部や金融機関が立て替えます。」

つまり、店舗設備・内装費・什器類などは本部が一時的に負担し、オーナーは売上から少しずつ返済していく仕組みになっています。

② 「開業プラン」が複数あり、低資金プランだけが強調される

各コンビニチェーンには、以下のような開業形態があります。

タイプ内容自己資金目安
新規独立型新店舗をゼロから開業約1,000〜2,000万円
既存店引き継ぎ型閉店予定や引退オーナーの店舗を継ぐ約200〜500万円
本部借上げ店舗型店舗・設備を本部が用意(リース方式)約100〜300万円

つまり、「100〜300万円で開業可能!」というのは、この中の「借上げ店舗型」や「引き継ぎ型」だけを指しているわけです。

③ 「加盟金・研修費のみ」を表示している場合もある

広告の中には、「加盟金100万円」だけを取り上げて初期費用100万円〜と記載しているものもあります。

しかし実際には、加盟後に以下のような費用が別途必要になります👇

  • 開店準備(仕入れ・広告・ユニフォーム)
  • 運転資金(人件費・光熱費)
  • 保証金(契約時に預け入れ)

これらをすべて含めると、現実的な初期費用は1,200〜2,500万円前後になるのが一般的です。

フランチャイズ契約前に確認すべき3つの資金ポイント

契約書を読む前に、次の3つを必ず明確にしておきましょう。

① 「初期投資のうち、自分が負担する部分」を正確に把握する

本部が負担する範囲をしっかり確認しましょう。

什器・備品・改装工事など、どこまでが自己負担なのかを契約書で明記させるのが基本です。

② 「ロイヤリティの計算方法」を具体的に理解する

売上から何%引かれるのかだけでなく、光熱費・人件費・廃棄ロスの扱いも要チェック。

売上が上がっても経費率が高いと、黒字化は遠のきます。

③ 「資金が尽きるタイミング」をシミュレーションしておく

シミュレーションは最悪のケースで計算するのがコツ。

「月商▲10%」「人件費+10%」など、複数パターンで試算すると、経営リスクを見える化できます。

元店長からのアドバイス:焦らず「数字と現実」を見よう

本部説明会やパンフレットでは、どうしても「夢」が語られがちです。

「自分の店を持てる」

「安定した収入」

その言葉に惹かれる気持ちはよく分かります。

しかし、実際に経営に入ると、現場は想像以上にシビアです。

だからこそ、契約前に「現実の数字」を見ておくことが成功の第一歩

初期費用や資金計画を軽視せず、慎重に判断すれば、無理のない経営が可能になります。

まとめ:開業は「資金準備」が9割を決める

  • コンビニ開業には1,000万〜2,000万円規模の初期投資が必要。
  • 初期費用が安いプランは実質的に支払いを先送りしているだけ。
  • 契約前に自己負担・ロイヤリティ・運転資金を明確にする。
  • 開業後の赤字期間に耐えられる余裕資金を必ず用意しておく。

開業は、ゴールではなくスタート地点です。

しっかりと資金計画を立て、リスクを把握した上で進めることが、安定経営への近道です。

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