
「自分の店を持ちたい」
「脱サラして独立したい」
そんな希望からコンビニ経営を始める人は多いですが、実際には「やめとけ」と言う元オーナーも少なくありません。
「夢の独立」が一瞬で崩れることもある。
なぜ、多くの人が夢を抱いて始めたのに、数年後には後悔してしまうのか。
そこには、フランチャイズという仕組みの落とし穴と、経営の現実を見誤る共通点があります。
共通点①「本部が全部やってくれる」と思い込む
最も多い勘違いがこれです。
「本部が仕入れ・宣伝・教育を全部やってくれる」と聞くと、初心者でも安心に感じますよね。
でも実際は、本部は「売上」には責任を持ちません。
たとえば仕入れ。
本部の指示に従って発注しても、廃棄が出ればその損失はすべてオーナー負担。
「おすすめ商品を入れたら売れなかった」
「在庫を抱えた」
すべて自腹です。
つまり、オーナーは本部のお客様ではなく、本部の「営業先」でもあるということ。
この関係を理解していないまま始めると、「思っていた経営と違う…」という後悔につながります。
共通点② 人手不足を甘く見ている
どんなに立地が良くても、人が足りなければ回りません。
実際、コンビニ業界で最も多い悩みが「人手不足」。
深夜・早朝のシフトが埋まらず、オーナー自身が週6で夜勤に入るケースもあります。
「アルバイトがいれば自分は経営に専念できる」
と、思っていたのに現実は、
「休みゼロ」
「家族総出で勤務」
というオーナーも多いです。
経営よりもまず「労働者」として現場を回さなければいけない。
このギャップに苦しみ、数年で辞めてしまう人が後を絶ちません。
共通点③「利益率」を正しく理解していない
コンビニ経営の売上は大きく見えます。
1日40万円売れれば、月商1,200万円。
一見「すごい!」と思う数字ですが、実際の手取りはその10分の1以下になることも。
理由は、フランチャイズ特有の「ロイヤリティ制度」。
売上の30〜40%が本部に引かれ、人件費・光熱費・廃棄・税金を差し引くと、残るのはわずか。
つまり「売れても儲からない」のが現実です。
赤字店舗の多くは、この利益構造を理解せずに契約してしまっています。
共通点④「契約の縛り」を軽く考えている
フランチャイズ契約は一度サインすると簡単には抜けられません。
契約期間は5〜10年が一般的で、中途解約には違約金が発生。
さらに「本部指定の店舗設備は買い取り」「閉店後も残債あり」など、契約書の一文に泣かされる例も多いです。
ある元オーナーは言いました。
「辞める時にやっと気づいた。契約書の再契約は本部判断の意味を。」
契約内容をきちんと理解せずにサインする...これも後悔組に共通する落とし穴です。
共通点⑤「数字より情熱」で突っ走る
「自分ならやれる」
「地域に愛される店を作る」
その気持ちは素晴らしいですが、経営は「気持ち」だけでは続きません。
たとえば、1日の売上が40万円でも、廃棄・光熱費・人件費で手残りが1万円。
そこからローンを払えば、実質の時給は数百円レベルになることもあります。
夢や理想だけで始めてしまうと、現実の数字とのギャップに心が折れてしまう。
これも「地獄」と言われる理由のひとつです。
フランチャイズ地獄を避けるために
「じゃあ、コンビニ経営は全部ダメなの?」
そういうわけではありません。
「経営者」としての覚悟と準備があれば、安定して続けているオーナーもいます。
成功している人に共通するのは、次の3つ。
- 契約前に複数社を比較し条件を数値でシミュレーションしている
- 家族や副業とのバランスを現実的に考えている
- 現場経験を積み従業員管理に強い
つまり、やみくもに始めるのではなく「数字・契約・人材」の3軸を理解している人ほど成功しやすいということです。
まとめ:夢の独立か地獄の契約か
コンビニ経営は、誰にでもできる簡単な独立ではありません。
むしろ、リスクを正しく知っている人だけが生き残る世界です。
「やめとけ」と言われる理由は、業界の闇ではなく、情報不足で始めてしまう人の多さにあります。
これから始めようとしている方は、ぜひ冷静に数字を見てください。
そして、契約前に一度立ち止まる勇気を持ってほしいのです。







