
「独立して自分の店を持ちたい」
そう考えてコンビニ経営を検討する人は多いです。
しかし現実には、コンビニ経営で失敗する人も少なくありません。
筆者は元コンビニ店長として、数多くのオーナーの成功と失敗を見てきました。
この記事では、「なぜコンビニ経営がうまくいかないのか?」を、現場の実体験をもとに5つの原因に分けて解説します。
これを読めば、契約前に知っておくべきリスクや回避策がはっきり見えてくるはずです。
原因①:立地選びの失敗「人通りだけで判断してはいけない」
コンビニ経営の成否を左右する最大の要素は「立地」です。
しかし多くの人が、「人通りが多ければ売上も上がる」と勘違いしています。
実際には、
- 駐車場の入りやすさ
- 周辺の競合店舗(特に同系列)
- 近隣のオフィス・学校の有無
- 夜間の治安や交通量
といった動線や滞在率が売上に大きく影響します。
私の知るオーナーの中には、表通りの好立地に出店したものの、車が入りづらく客が定着せず開店から1年で赤字に転落した例もありました。
本部に勧められた立地でも、必ず自分の目で1日中チェックすることが大切です。
原因②:人材確保と教育の難しさ「バイトが辞める連鎖」
「人手不足」は、今やコンビニ経営の最大の悩みです。
特に夜勤スタッフの確保は深刻で、人件費がかさむ一方で採用が追いつかない状況が続いています。
あるオーナーは、バイトが夜勤を辞めてしまい、自ら週6日夜勤に立ち続けた結果、体を壊して廃業。
本部は代わりを出してくれず、「オーナー責任」としてすべてのシフトを埋める義務がありました。
このように、経営失敗の裏には「人の問題」が必ずあります。
採用コスト・教育時間・定着率を考えると、人材マネジメントの意識が欠かせないのです。
原因③:フランチャイズ契約の盲点「本部とオーナーの力関係」
フランチャイズ契約の仕組みを理解しないままサインしてしまう人も多いです。
しかし実際には、契約内容の多くが「本部有利」に設定されています。
たとえば──
- 商品の仕入れ先が自由に選べない
- 廃棄ロスはオーナー負担
- 売上に対するロイヤリティ率が高い
- 光熱費・人件費もすべて自腹
つまり、売上が上がっても利益が残らない構造になっているのです。
トラブルが起きやすいのは、「契約更新」や「売上不振時のサポート対応」。
「思っていたより厳しい」「契約を解除したい」と相談しても、違約金や違反金が発生するケースが多く、
泣く泣く続けざるを得ないオーナーもいます。
契約前には、必ず第三者(弁護士や経験者)に内容を確認してもらいましょう。
原因④:廃棄ロスと24時間営業のジレンマ
コンビニ経営では「廃棄ロス(廃棄商品の損失)」が大きな負担になります。
弁当やおにぎり、惣菜などは販売期限が短く、1日で数万円単位の廃棄が出ることも。
しかもその損失は、オーナーの自己負担です。
また、24時間営業の店舗では、深夜帯の売上が少なくても人件費は発生します。
その結果、「夜勤の赤字を昼の利益で補う」という悪循環に陥るのです。
この問題は、本部に改善を求めても「ブランドイメージのため」と一蹴されることが多く、経営者の裁量がほとんどないのが現実です。
柔軟な営業時間を認めているチェーンを選ぶことも、失敗を防ぐ一手になります。
原因⑤:資金計画の甘さ「開業後の隠れコストに注意」
コンビニ経営で意外と見落とされがちなのが、初期費用以外の出費です。
「加盟金」「設備投資」「保証金」だけでなく、開業後には次のような費用が継続的に発生します。
- 人件費・社会保険料
- 電気・ガス・水道などの光熱費
- POS・レジのメンテナンス費
- 廃棄ロスや値引き損
- 本部指定の販促キャンペーン費
実際、年商1億円あっても、利益が月20万円に満たないケースもあります。
つまり、「年商」ではなく「純利益ベース」で資金計画を立てることが重要。
最低でも半年分の運転資金を手元に残す余裕がないと、赤字から抜け出せなくなります。
失敗を避けるための3つのポイント
最後に、失敗を回避するための具体的なポイントをまとめておきましょう。
- 契約前に第三者(弁護士・経験者)へ必ず相談する
- 現場経験を積んでから独立する(バイト・店長経験は最強の武器)
- 家族の理解とサポートを得ておく(生活リズムが狂うため)
コンビニ経営は「やれば儲かる」ビジネスではありません。
しかし、現場を理解し、数字を読めるオーナーであれば、安定した黒字経営は十分に可能です。
まとめ:成功と失敗の差は「準備力」にある
フランチャイズ本部の説明だけを信じて契約してしまうと、後から「こんなはずじゃなかった」と後悔する人が多いです。
逆に、現場のリアルを理解し、数字・人・契約の3つをしっかり押さえておけば、安定して長く続けられる経営が可能です。
コンビニ経営を検討しているあなたへ。
「リスクを知ること」こそ、成功への第一歩です。





